元に戻れますか
「それがどうした?」
「その程度で・・・」
大きなお寺に行くと、
よく五重塔や三重塔を見かけます。
中には千年以上も前に創建されたものも。
その間、台風や地震などの自然災害にも耐えて。
建築の構造の話を少ししますと、
五重塔や三重塔の真ん中には
心柱という太い柱が
大体、根元から頂部近くまで通っています。
そして、
その心柱は固定されていません。
周りの屋根の部分とも繋がっていません。
心柱だけが
ゆらゆら揺れるようになっています。
刺さっているだけ。
普通ちょっと考えると・・・
台風や地震に耐えるためにも
しっかりと根元も地面に固定されていて、
他の部分もしっかり繋がっていて、
何があっても動かないぞ!
とばかりに頑丈にできてないと・・・
と思いますよね。
それではじめて台風や地震に耐えられると。
逆なんです。
台風による強風、
地震による強い揺れ、
と一緒になって心柱も揺れる。
一緒になって揺れることにより
台風や地震による揺れを吸収し、
周りの屋根の部分には伝わらないようにしているのです。
もちろん、
周りの屋根の部分は
その部分だけで揺れますが、
心柱とは切り離されているので、
強風の揺れは心柱には伝わらずにおさまり
建物全体に影響はあまり与えず、
地震の揺れは心柱があるおかげで
地面から直接伝わりません。
そして、
揺れた心柱、
揺れた屋根は
揺れがおさまると
また元の位置にもどります。
現代でいうと、制震構造です。
もっとわかりやすくいうと、
大きな木を想像してみてください。
太い幹があって
その周りに枝葉がある。
その太い幹と周りの枝葉が切り離されているイメージです。
どんなに揺れても
太い幹が折れることはありません。
強風で折れるのは
太い幹と枝葉が繋がっていて、
少しも揺れないぞ!と
頑張っているから
限界を越えた時にポッキと折れるのです。
どんなに揺れても
一緒になって揺れていたら
揺れの力が分散されます。
そして、
また元の位置に戻る。
どんなに揺れても
また戻るべき位置にきちんと戻る。
その位置が
家の存在であったら・・・
外で何があっても
帰るべき
安心できる場所がある。
私の
家に対する
理想のイメージのひとつです。
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