建ち方で変わることがある

きっとこう建って欲しいのだろうなとおもんばかることも必要だと思う。

広い土地が相続によって小さく分割され、何ヶ月後かにいくつもの建売住宅が出現し、それまでの街並みが変わることがよくある。前の風景を知っている者にとってはその変わりように違和感を覚えるが、なぜ違和感を覚えるかというと、不自然な建ち方をしているからである。

当然、事業なので、建売住宅を建てるために、広い土地を少しでも効率よく分割して、より多くの建売住宅を建てようとする。だから、そこでどのように建ったら、人同士の交流が生まれ、周りの環境とも馴染みが良いかという意識そのものが無いので、周りからしたら不自然に見える。

クライアントのお母さんが住んでいた土地を分割し、兄妹で2棟の二世帯住宅を建てる計画があった。土地を分割するところから設計をしていったのだが、お母さんからの条件が道路に対して手前と奥という土地の分割の仕方はしないで欲しい要望があった。奥になった方が不利になると考えたようだ、あくまでも兄妹でなるべく差が出ないような分割の仕方を望んでいるように感じた。

だから道路に対して、手前と奥では無くて、右と左という分割の仕方にした。ただ、そうすると土地の形が不自然に長辺が長い長方形になってしまう。

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ならば、それを利点として、2棟の住宅の間に共用の長い通路を取り、お互いにその通路に面して玄関を設けて、日常の暮らしの中で自然と行き来したり、交流したり、お互いのリビングにある窓も高さを半階ずらして配置し、視線が交差することは無いが、お互いの賑わいや存在が何となくわかるようにした。

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それは敷地内の親族同士の交流だが、その交流が自然と周辺環境にも伝播して、何気に人が立ち止まって話込んでいるのをよく見るようになった。

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