省スペース化が生む階段の効果
敷地に建てれるだけ目一杯に建物を建ててしまうと、どうしても満足に庭が取れないし、防犯のことも考えて、子供を遊ばせたり、洗濯物を干すために、屋上が欲しいという要望がクライアントから出ることがよくある。
子供の頃、屋上のある家に住みたいと思ったものです。なぜか高いところに上がるとテンションも上がるし、遠くまで見渡せるのは気持ちがいい。そういえば、学校の屋上へ行くのも好きだった。屋上へ出る扉を開ける瞬間がなんかワクワクしたことを覚えている。
屋上へ通じる階段は、自治体や確認検査機関の判断にもよりますが、建築基準法の住宅の階段の規定を受けないので、省スペース化させるために、急な階段にすることもある。
ただ、階段は廊下と同じように通路なので、人が通る場所として常に空けておく必要がある。廊下ならば、廊下も部屋という考え方をすれば無くすこともできますが、階段はそうはいかない、どうしても場所を占領してしまう。階段下の空間を便所や収納にすることもありますが、今回は2階を大きなワンルームとして、そこを必要に応じて可動間仕切りで仕切り、個室をつくるというプランなので、階段はできるだけ省スペースに、それも視線を遮らないようにして、クライアントの希望である大きなワンルームであることを邪魔したくはなかった。
だから、段違い階段にし、段板のみで構成することにした。段違い階段とは、段板が右、左と半段ずつズレて設置されており、人の足の動作に沿った段板の位置になっているもので、階段をより省スペース化できるのですが、自治体や確認検査機関の判断にもよりますが、建築基準法の住宅の階段としては認められていない。今回は屋上へ通じる階段でしたが、一応、事前に確認検査機関へ相談し了解を取り実現しました。
この階段ならば、透け透けで、屋上へ出る扉をガラス扉にしたので、太陽の光が屋上から拡散されて2階の空間にまで降りてきて明るくしてくれますし、階段の存在感自体もより無い方向に、視線もなるべく遮らないように、クライアントの望むワンルーム感が出て、不思議なことに階段が造付けの家具のように見えなくもない。