家は遊び場、家は遊具
建物が完成してクライアントに引き渡す時、大概、お子さんが走り回っている。子供にしてみれば家は遊び場、家は遊具なんだなと思う瞬間です。
そんな姿を何度も見ているので、設計している時からクライアントのお子さんに合わせて、それは結構クライアントには内緒で、勝手に盛り込んでいたりする場合もありますが、遊具となるような仕掛けを考えている。
子供の頃の記憶にはよくその当時住んでいた家の情景が入り込んできて、その時の体験と一緒に焼き付いています。きっとお子さんが成長していく上で家が果たす役割ははかりしれないと、結構、その後の成長や人生に影響を与えるのではないかなと思っています。
だから、ほんのちょっとなことなのですが、そこに腰掛けて本を読んだり、皆んなが見渡せるような所をつくったり、扉を開けると視界が開けて、その先にチラッと見える家族を感じたり。
クライアントのために離れをつくったことがあります。離れといっても別の建物になっている訳ではなくて、ひとつの屋根の下にテラスからしか出入りができない3帖くらいの部屋、茶室くらいの広さです、ほんとに狭い、でも、クライアントがひとりになれる部屋をつくりました。
ただ、その部屋は、出入りはテラスから一旦外に出る必要があるのですが、室内に向かって2つの窓があり、開けると1つはリビング、1つは寝室につながっていて、そんなに勝手にひとりにはなれないようにしてあり、結局はひとりいながら、ちょっと寂しくなるとどちらかの扉を開ければ、家族と、お子さんとつながることができるようにしました。
それは、大人にとっても家は遊び場、家は遊具で、子供の頃の家の原体験の延長に今の家があり、ただ大人になって求めるものは子供の頃の家ではなくて、今の自分が満たされるためのもの、それはお子さんを見ているとわかります、お子さんは親の真似をしますので、だから、打合せではお子さんをよく観察して、クライアントにたくさん尋ねます。