家族だから個室はいらない
お互いに別々なことをしていて、それは同じ時間帯に、同じ空間で、それが当たり前の家族は結構多くて、今まで携わってきた住宅のクライアントにも結構多くて、ただ、家族だから個室に篭って別々になるのは避けたという話は打合せでよく出る。
「だから個室はいらない」
「でも完全にオープンにはできない、娘二人だから」
ある住宅のクライアントから出た要望で、3LDKとか、4LDKなどのプランに慣れ親しんだ人には、空間的に矛盾をしていることになるだろう。
従来のnLDKのプランでは、個人の空間をつくるためには壁で囲うという発想だった。それが必要無いとなると発想を全く変えるしかない。ちなみに、声や物音がしても、気配を感じても良いそうだ。
ならば、個人の空間をつくるということではなくて、必要な時に隠れることができる場所、すなわち、死角をつくり出すことができれば良いのではないかと考えた。
1階全部をキッチンやリビング、ダイニングスペースと水回りに当て、2階の壁を全部無くして、全て可動間仕切りにし、可動間仕切りを全て閉めれば4つのスペースに区切られるが、開け放しても可動間仕切りの扉が残るので隠れるための死角ができる。
それが、個室はいらないが、完全にオープンにはできない空間への提案であり、採用され実現した。