設計のプロセスをもう少し大事に

人は普段、実際の空間と意識の中にある空間の2つを同時に重ね合わせて、目の前に広がる空間を感じでいる。意識の中にある空間とは、過去にどこかで経験している記憶の中の空間で、それを実際に見ている空間に重ね合わせ、自分用に空間を合成をして感じている。

だから、人は自分に都合よく空間を感じ取り、好き嫌いも合わせて、意識の中にある空間に先導される。昔、気持ちがいい体験をした場所と似ていたら自然と気持ちがほぐれて、嫌な体験をした所に似ていたら、その時の嫌な気持ちが蘇ってくる。

理性的に空間を感じるより先に、感情的に空間を判断してしまう。

でも、ならば簡単だろう、自分にとって居心地が良い空間をつくるのは。自分が自然と気持ちいいと思える空間を寄せ集めれば良い、それで少なくともハズレはない。

ところが、面白いもので、普通の人には、自分が自然と気持ちいいと思える空間がわからない、普段、そのように空間を感じようとすることが無いから。そうすると、何をするか、他人が気持ちいいと思う空間をネットや雑誌で拾い集めだす、あるいは、展示場やショールームへ行く、自分ではわからないから、気持ちいい空間の正解を求めて、挙げ句の果てに、他人の気持ち良さを自分の気持ち良さと錯覚しはじめる。それでは勘違いしたまま、自分が気持ちいい空間を知らぬまま、完成してしまう、こんなものかなと。

設計のプロセスをもう少し大事にするだけでいいのにとつい思ってしまう。

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