らしさを纏う建築
線路際、よく見える場所、線路に沿って細長い変形地、そこで平屋、飲食兼料理教室を行う小さな建築を考えている。
お話をいただいて、実際に行うかどうかもまだわからない、影も形もない現状で、現地を見て、これは面白そうな仕事になる予感がして「是非」と思い、それから「らしさ」をずっと考えていた。
敷地の形や大きさと、平屋との希望から、本当に小さな建築になる予定で、そうなると、必然的に建築全体を一目で判断することとなり、それで建築としての印象が、イメージが決まってしまう。要するに、建築のデザインが印象と直結するのである。
だから「らしさ」が必要かというところから考えて、使い古された言葉だが、アイコンのような、その建築を見ただけで、飲食店のような、料理教室のような「らしさ」を醸し出している方がよいのかどうなのか。
むしろ「らしさ」を外すのは簡単なので、何々に見えないようにするのは案外簡単なので、「らしさ」を醸し出すデザインを、それも建築のデザインとして成り立つものを、そちらの方が遥かに難しいので、「らしさ」を醸し出し纏う建築を考えている。