らしさはデザインか

「らしさ」はデザインの範疇なのかと考えた。家らしさ、飲食店らしさ、工場らしさ、遠くから見て、その外形や外観でその建築が何の用途なのかがわかることは大事なのかとも考えた。

「形態は機能に従う」ではないが、その建築が何のためにそこに存在しているのかを外観が一目で教えてくれることはよくあるし、そういう外観の判断を実際の手掛かりによくする。

駅らしさ、交番らしくさ、病院らしさ、学校らしさ、こうやって「らしさ」を並べていくと、言葉では上手く言い表せなくても、何となく「らしさ」の違いを感じることはできるだろう。そういう感じの違いを頼りに目的地を探し当てたりしている。

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設計する時に意識して「らしさ」を演出することは、そうはないとは思うが、結果的に「らしさ」の範疇に落ち着くことが多いのは、建築計画学における建築の用途の違いが結果的に「らしさ」の演出になっているからだろう。だから、「らしさ」を意識しなくても、自然と「らしさ」の範疇におさまることになる。

建築以外のデザインの世界では「らしさ」やシズル感が重要視されているが、デジタル化に伴い、その「らしさ」やシズル感の演出に苦労している。それはデジタル化によって「形態は機能に従う」ではなくなってきたからで、形態は単なる「装飾」として存在するだけで、機能は形態を必要としなくなったから。

そして、「装飾としての形態」はユーザーとの関係構築のためだけにつくられる。要するに、「らしさ」という装飾で物と人をつなげるだけが形態の役目で、はじめの第一印象を決める役目を形態が担う。ということは、やはり「らしさ」はデザインの範疇になるのだろう。

では、建築にとって「らしさ」は大事なのか、そもそも必要なのか、それはまた次回、ここに書きます。あと、「らしさ」には使用との関連もあります。

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