つながりで家事も考える
「つながり」を意識することが設計プロセスでは多いかもしれない。
窓がつながりを表現しているものならば(『窓はつなぐもの』を参照)、他にも見えるもの、見えないもの、建築には実にたくさんの「つながり」が表現されている。
例えば、「家事動線」という言葉がある。家事がしやすいように、家事をする場所や器機がどのように配置されているかを実際の人の動きを想定して線で結び、その線が短ければ短い程、家事が効率的に行え、時間もかからずに、疲れにくいという指標で、これも家事をする際の人の動作のつながりを表現したものである。
ただ、この場合の「つながり」は、お手伝いさんや将来家事ロボットなるものが存在したら、ありがたいことかもしれないが、家事を面倒なもの、効率的にさっさと終わらせて、他に楽しいことをしようよ、という裏の意味が込められているので、どうにも「家事動線」という言葉を設計プロセスで使いたくない。
家事も日常の一部であり、仕事と同じで1日のうちでかなりの時間を使うことだから、家事を家づくりに巻き込むならば、家事が楽しくなる、したくなるようにするのが本来の設計プロセスではないかと思い、その場合の「つながり」は家事だけでは完結せずに、例えば、外部空間の庭やテラス、人がくつろぐ時の気分や感情までもつなげて、その場所でしかつくることができない「つながり」を創作することになるだろう。