天井の高さが関係性をつくり出す
わざと天井を低くくすることもある。どうも天井は高い方が良いと思われているようで、世間一般的には、天井が低いことは狭くて、よくマンションは天井が低いから、という会話を聴いたことがある。確かに、マンションは少しでも階高を低くして、それで少しでも多く戸数が稼ごうとするが、天井が低いということは悪いことではない。
空間の大きさの決め方には違いがあり、物を置く空間などはその物の大きさによって、その物が収納できる大きさで決まるが、人がいる空間は人の大きさが基準になる。例えば、物を置く空間としては美術館や博物館などがあり、展示する美術品の大きさにより展示室の大きさが決まる。人がいる空間の住宅やマンションなどでは、人の大きさが基準になるので、人の大きさに近ければ、それはヒューマンスケールと呼ばれ、人にとって親和性があり、適切な大きさということになる。
だから、天井の低さもヒューマンスケールと捉えれば、人にとって心地よい高さとなるかもしれないし、吹き抜けのような天井の高い空間はヒューマンスケールを逸脱しているので、人によっては落ち着きのない、居心地が悪い空間となるかもしれない。
このように、天井の高さの違いより、人に与える影響にも違いが出るので、天井の高さをデザイン要素として扱うことで、人と建築の関係性をつくり出すことができる。