部材には時が宿っている。よく解体された古民家の柱や梁などを持ってきて内装の部材で使ったお店などをみる。確かに部材自体は太かったりして立派だが、部材自体は元の古民家があった地域で一般的に誰でも手に入れることができるものだから、特別に良いものでもない。
そこの風土に合った生活と共に長年存在していた古民家の価値が部材には宿っており、それは長い時を経たからであり、昨日今日つくった建築には絶対にないものである。
部材に宿る時は、部材が新たに使われた場所で解き放たれる。そのような時は他の方法では得ることができない。それは現代建築にはじめから欠けているものでもある。